学会誌

オープンイノベーションにおけるニーズ情報開示問題


オープンイノベーションということばが広まるに伴いわが国においても大手企業が開発目的の外部連携に積極的に取り組む姿勢を見せるようになった。このことは、わが国に多数存在する優れた技術を持つ中小企業を活かし、わが国全体としてのイノベーション力を強化するための好機をもたらしている。しかし、大手企業が外部の技術や知識を探索するに際して、自社のニーズ情報を公開しない場合が多いため、大手企業と適切な技術を持った中小企業との効率的な連携形成が妨げられている。このことは、海外の先行研究においては大きな論点とはなっていないが、わが国の中小企業や地域活性化の現場では大きな問題となっている。産業クラスター推進組織として設立されたTAMA協会は、大手企業のニーズ情報に関して非公開型、公開型双方の交流事業で実績を挙げており、その経験からこの問題の解決に向けた示唆が得られる。

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