学会誌

中小製造業の国際化プロセスと国際的企業家志向性、輸出市場志向性、学習志向性:探索的検討と仮説提示

 近年、大手企業の海外展開が進展する中で、国内中小製造業にとっても国際化が重要な課題の一つとなっている。それでは、国内中小製造業はどのように国際化を志向・実現しているのだろうか。本論文では、経営者の企業家行動=企業家要因から、この問いへの回答を試みている。より具体的には、山本・名取(2014)における「国際的企業家志向性(IEO)」を利用した分析視点を踏まえた上で、「市場志向性(MO)」「/ 輸出市場志向性(EMO)」、「学習志向性(LO)」の分析視点から、近年の国内中小製造業の国際化事例、その中でも輸出による海外市場参入事例を対象として、探索的に分析している。その上で、山本・名取(2014)の分析視点を拡張しながら、「市場情報の収集」という点に着目し、国内中小製造業の国際化プロセスのモデル化を図っている。
 なお、MO/EMO、LO という概念は日本の中小製造業の国際化プロセスにはこれまでほとんど適用されてこなかった。よって、本論文は既存の中小企業論に対し、大きな貢献をしている。

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