中小企業の医工連携に関する研究
本研究は「どのような中小企業が医工連携に参加する傾向があるのか。」という疑問をリサーチ・クエスチョンとして中小企業の医工連携への参加要因を中心に議論したものである。研究枠組みとして定量的及び定性的の両アプローチを採った。定量的アプローチでは独自に行ったアンケートに基づき定量分析を行った。定量分析の結果、会社業歴が短く、規模(従業員)が小さく、且つ産産連携の経験を有しているという企業ほど医工連携に参加する確率が高いという特性が観測された。これは、資源ベース理論の枠組みでは十分に参加要因を捉えられないことを意味する。そこで、本研究で得られたユニークな特性の背後にある論理を探るため、定性的アプローチとして、アンケートの回答企業に対しインタビュー調査を行った。その結果、企業家的志向性が医工連携を突き動かす原動力であることが発見できた。以上から、本研究で中小企業は、医工連携に参加する場合は、他社とは異なる特別な能力は特に必要なく、むしろ能力不足などに臆することなく医工連携に積極的に参加しようとする、企業家的志向性が求められ、そしてその参加の中で連携ネットワークという「場」の中で果敢に知識を習得していく力が重要であることが示唆された。