2016年 第11回清成忠男賞 論文部門/第4回清成忠男賞 書籍部門 受賞者
<2016年度 清成忠男賞 論文部門(本賞) 受賞者>
該当者なし
<2016年度 清成忠男賞 論文部門(奨励賞) 受賞者>
伊藤 智明 氏(神戸大学大学院経営学研究科)足代 訓史 氏(大阪経済大学講師)
<受賞論文タイトル>「企業家による事業の失敗に対する意味形成プロセスの解明」
<掲載誌名・号・年>『日本ベンチャー学会誌 Venture Review』No.27、2016年
<2016年度 清成忠男賞 書籍部門 受賞者>伊藤 亜聖 氏(東京大学講師)
<受賞書籍タイトル>「現代中国の産業集積」
<出版年月、出版社、ISBN>2015年12月、名古屋大学出版会、978-4-8158-0823-5
※肩書は執筆当時
論文(奨励賞)
<論文部門(奨励賞)論文要旨>
本稿は、企業家による事業の失敗に対する意味形 成プロセスとその成果を、省察的対話における語り 直しとスキーマの更新に着目して解明することを目 的とした探索的な単一事例研究である。ベンチャー の廃業前後の研究者との対話の逐語記録を分析対象 とした継時的な分析の結果、二つのことが明らかに なった。第一に、事業の失敗に対する意味形成過程 における、企業家の批判的省察や危機の対処行動を 促す他者の役割である。第二に、事業の失敗の原因 に関する自責と他責の選り分け方の変更、および、 他者の視線に気づきそれへ配慮できるようになった ことが、意味形成過程の成果となっていたことであ る。これらから示唆されることは、事業の失敗に伴 う負の感情を制御するための企業家の省察的実践の 働きと、企業家の判断基準の変更を前提にした理論 構築の必要性である。
キーワード:事業の失敗、意味形成、企業家の語り、省察、語り直し
<Abstract>
This article is an exploratory single-case study that aims to clarify the sensemaking process of business failure by a entrepreneur. The article focuses on the retelling of reflective dialogue and the update of schema to explain business failure outcomes. An analysis of the verbatim record of dialogue with the researcher revealed findings on the sensemaking process of business failure. First, the role of others motivates the entrepreneur’s critical reflection and behavior to cope with the crisis. Second, the change in differentiating the intropunitive and extrapunitive impact in
addition to noticing and considering external judgment. The results indicate reflective entrepreneurial practice regarding the management of negative emotions associated with the business failure. Further, the results imply the presumption of change in the entrepreneur’s judgment criteria.
Key words : Business failure, Sensemaking, Entrepreneurial narrative, Reflection, Retelling