会長挨拶


 平素は当協会の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。この度日本ベンチャー学会第7代目の会長を拝命しました。浅学菲才ではございますが学会の発展のために鋭意精進してまいります。
 現在、我々を取り囲む環境は、混迷を極めています。深刻化する環境問題、災害の増加、国際政治の不安定化、国内では少子高齢化、労働人口の減少、地域経済の疲弊、円安とインフレ等、これまで通りのやり方が通用しないような難題が社会に山積しています。
 このような中、本学会が対象とするベンチャー企業や企業家に対する期待は、過去に例がないほど高まってきていると言っても過言ではないでしょう。2022年に岸田前首相によって「スタートアップ育成5か年計画」が打ち出され、今や官民挙げての動きとなってきています。これに呼応するように、ベンチャー企業やアントレプレナーに対する社会の認知は大きく変わって来ています。日本にとって、まさに今が過渡期であり正念場と言えるでしょう。この分野の研究に対する需要も高まってきております。
 他方で、本学会は新企業創出のみならず、既存組織の変革、新事業創出、そしてそれらを担う企業家活動も視野に入れております。我が国は世界的にみても長寿企業が多く、長きにわたって生きながらえてきたこれら企業からは、新規事業創出や事業承継について世界に向かって発信できる知見が多々あると思われます。
 本学会の目的は、あらゆる分野で活動する企業家活動を調査研究し、その知見を実践に反映させることを通じて、社会に貢献することにあります。初代学会長の清成忠男先生は、本学会の設立趣旨の中で「新産業創出のために、今我が国において必要なことは、企業家風土の形成を加速化し、企業家文化の醸成をはかることである」と述べられており、その思いを引き継いでいきたいと思っております。様々なバックグラウンドの方々が集まり、新たな知恵と知見を生み出し、それらを実践に移していけるプラットフォームとしての役割を、本学会が果たせればと思っております。

                                       2025年1月  一般社団法人日本ベンチャー学会会長 福嶋 路
                                                       (東北大学大学院経済学研究科教授)

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